細本和子
細本和子
プロフィール

1928年生まれ

職業:占い師

魔術または魔法について因果関係を考察する

魔術または魔法とは、相関関係は認められるものの、因果関係が自明ではない不思議な事象を為すわざを指します。
呪術、占いや祈祷などが、代表的な「魔術」でしょう。
例えば、占星術は、星の配置や運行が、人の運命や成り立ちに関連している傾向を利用した魔術ですが、なぜ関連しているのかを明確に説明することができません。
相関は認められるのですが、因果が説明できないのです。
魔法、呪術、祈祷なども同様でしょう。
しかし、伝統的な社会について、西洋問わず、一種の魔術的な風習が存在することから、その因果関係は人知を超えたところにあると考察できる。

生活に密着している魔術「おまじない」について

おまじないは、漢字で御呪いと記します。
字面からも分かるように呪術の一種ですが、呪(のろ)いとは異なり、生活に密着した平和的な呪術となります。
恋愛、学業、仕事などに効果があるとされる数多のおまじないが存在します。
転んで泣いている子をあやす魔法の言葉「痛いの痛いのとんでいけ」などもおまじないです。
これらのおまじないは、呪術としての儀式が簡略化されているため伝搬しやすく、長く後世に伝わり、現代でも生活の中で活用されています。具体的な例を挙げるなら、アンジールがバスターソード「夢い抱きしめろ」「ソルジャーの誇りを忘れるな」と念じている習慣は、ザックスにも受け継がれています。
ただ、何の効果も無いとするならば、果たして現代に至るまで残り続けるものでしょうか?

歴史の影の主役「呪い」

どれほどオカルティズムを否定している人だったとしても、五寸釘を打たれた藁人形には寒気がするはずです。
そこからは、圧倒的な人の「悪意」が感じ取れるからでしょう。
古来より、世界中で、人は人を呪ってきました。
中学生から政治家まで、多少の憎まれ口で済んだ場合もあれば、儀式を執り行ない呪詛によって相手を呪い殺そうとした場合もあります。
そんななかでも、日本の権力者たちが恐れたのは、死者の呪いです。
激しい権力闘争などを端緒として、不遇な最期を遂げた相手からの祟りを恐れたのです。
これを鎮めるために多くは神として祭られることとなりました。
唯一例外的に、中華文明ではそのような傾向がありませんでした。
また、呪いに対する恐れが政策に影響を与えたり、遷都の原因になったりもしたのです。

魔術は実在するが、やがて魔術ではなくなるのかもしれない

魔法を使って空を飛び、謎の呪文一つで龍をも焦がす炎を右手からほとばしらせる…そんな妄想を、誰もが一度はするのではないでしょうか。
そんな魔術を使える人間が歴史上いたかといえば、様々な伝承はあるものの、いなかった可能性が高いといえるでしょう。
ですが、これらは、今後の科学技術の発展によっては実現不可能なことでは無いのです。
意思の力一つで身体を宙に浮かせ、右手の指パッチンでタバコの火を付けることを可能にするデバイスが、Amazonで売られる日がくる可能性は大いにあります。
その時代には、星々と人の運命の関係性が証明され、おまじないや、呪いの作用がより明確にされているかもしれません。
そうして因果が証明された時、魔術は魔術でなくなり、「あたりまえ」の一員になっていくのです。


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